八つ墓村の遺言
横溝正史の原作、八つ墓村
角川映画で一世を風靡しましたね、
金田一耕助が活躍します。
白いマスクをかぶって目をギラギラさせた佐清(すけきよ)が袴姿で出てきます。
水面から両足を上げたままの衝撃的な光景が印象的でした。
あの中で、とんでもない遺言があったことを覚えていますでしょうか?
全財産の相続:犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が遺産のすべてを、恩人の孫娘である野々宮珠世(たまよ)に譲る。
結婚の条件:ただし、佐兵衛の3人の孫(佐清・佐武・佐智)のいずれかと結婚することを条件とする。
遺産の行方:もし珠世が3人の誰とも結婚しない場合は、相続権を失う
この遺言は有効でしょうか?
犬神佐兵衛の遺言(「珠世が3人の孫の誰かと結婚した場合のみ全財産を相続できる」)は、
現代の民法では“無効となる部分を含む”可能性が極めて高いと思われます。
ただし、 遺言そのものが全部無効になるわけではなく、「結婚を条件とする部分」が無効になると思われます。
なぜかというと、「結婚を条件とする遺言」は民法90条:公序良俗違反で無効になるのです。
「特定の相手と結婚しなければ相続させない」という条件は、 個人の婚姻の自由を不当に制限するため、公序良俗に反すると判断されやすいです。
また、婚姻の自由は憲法24条:婚姻は「両性の合意のみに基づく」ものであり、 経済的圧力によって婚姻を強制することは許されないという考え方が強く働きます。
- 「結婚したら相続させる」
- 「結婚しなければ相続させない」
といった遺言の条件は、 婚姻の自由を侵害するため無効とされるのが一般的です。
ただし、 遺言全体が無効になるのではなく、条件部分だけが無効になります。
犬神佐兵衛の遺言内容:
- 全財産を珠世に相続させる
- ただし、孫3人のいずれかと結婚することを条件とする
- 結婚しない場合は相続権を失う
→ 「結婚を条件とする部分」が無効 → 結果として、 珠世は無条件で遺産を相続できるという扱いになる可能性が高いです。
まあ、小説ですから、あまり目くじらを立ててもいかがかと思います。
ただ、法律の専門家に相談しないで作った遺言が、もしも無効だったら?
わざわざ作ることはなかったのです。
本当に「自分がこういう遺言にしたい」という気持ちがあるなら、誰かに相談した方がよかったのと思います。
