コラム
ナポレオンの遺書
巨匠リドリー・スコット監督の映画「ナポレオン」が公開されました。
ナポレオンと言えば、世界の英雄ですね。コルシカ出身の貧しい貴族が、ツーロン港奪還から出世して皇帝に。
軍事的才能だけでなく、エジプトでロゼッタストーンの発見、国立銀行、公立学校、フランス民法典など、政治家としての功績も少なくありません。
本映画は妻のジョセフィーヌとの人間関係が中心です。
アフリカ大陸の孤島セント・ヘレナに流されたナポレオンは、失意の晩年を過ごしたことでしょう。
この映画には彼の遺書の話は出てきませんが、以下のような内容と言われています。
1. われはローマ教会の信徒として死す。50余年前、その胸に抱かれて生れたからである。
2. わたしの遺体はセーヌ河畔に葬ってほしい。わたしが深く愛するフランス国民の中にありたいからである。
3. わが最愛の妻マリー・ルイズは常にわたしに満足を与えて来た。そこで世を去るにあたって心からの愛情を捧げた。わが息子は未だ幼少のため、願わくば世のさまざまの誘惑に陥らないよう守りたまえ。
本人の願いと多少違いはありますが、フランスのアンヴァリッドの教会に墓がありますから、祖国に戻れたことはよかったのではないでしょうか。
また、自分が亡くなったあと、幼い息子のことを強く心配する気持ちがひしひしと伝わってきます。
息子のナポレオン2世は21歳で亡くなり、ナポレオンの願いは叶いませんでした。
幸か不幸か、ヒトラーがフランスを占領した時、同じ教会に息子の墓が移されています。