コラム
任意後見制度への関心
先日、司法書士の先生のお話がありました。講義に参加した人は100人以上でしょうか。
主な内容は民法の一部改正で、相続土地国庫帰属法についてでした。
お話の後半に法定後見人と任意後見人の話がありました。
参加者に質疑応答の時間があり、何人か手を上げていました。
ところが任意後見人制度に対する質問が多かったのです。
例えば、親が認知症になった場合には、本人はもう物事の判断が出来なくなっています。
親族が裁判所に申し立てして法定後見人を決めてもらわないと法律行為が出来なくなってしまいます。
その法定後見人はほぼ知らない弁護士や司法書士や行政書士になるのです。
知らない人に親の通帳や土地の管理を任せるというのは
なかなか不安になる人もいることでしょう。
任意後見契約とは
認知症になる正常な判断力のある時期に、本人や子供や知っている士業の先生などに
「認知症になったら任意後見人になって下さい」
とあらかじめ頼んでおく契約です。
これは公正証書でないと意味がありません。
裁判所は、その任意後見契約の予定者を認めることが多いようです。
後見監督人は裁判所の指定した人物をつけます。
それでも他の家族にとっても知らない人が後見人になるよりいいのではないかと言われています。
任意後見契約の具体的な希望の中に、自分の医療方針とか、住居の処分とか
葬儀の内容なども盛り込むことも可能です。
もしも、何もないまま認知症になった場合、このような要望は法定後見人にはわかりません。
裁判所が認めるか、本人が亡くならない限り何も出来ないので
ご家族が資金繰りに困ることもあるようです。
いずれにしましても、高齢化が身近に感じられる昨今、任意後見契約に対する関心は
ますます高まるものと感じられます。