子どものいない夫婦「妻に多く渡したい」
子どものいない夫婦のどちらかが亡くなると法定相続分はどうなるでしょうか?
両親が健在の場合、両親が1/3、妻が2/3になります。
兄弟姉妹が健在の場合、兄弟姉妹が1/4、妻が3/4という割合にります。
夫からすれば、「妻に全部あげたい。兄弟姉妹には渡したくない。」
と考える人の方が多いのではないでしょうか。
でも、遺言書がなければ、相手が主張してくるかもしれません。
少し難しい話になりますが、兄弟姉妹には遺留分がありません。
つまり、有効な遺言書があれば妻に遺産をまるまる渡すことが出来るのです。
では、子供のいない夫婦について、具体例をみておきましょう。
Aさん夫婦は夫が65才、妻が60才。
結婚してから、子供には恵まれませんでしたが夫婦仲はずっと良く、2人で協力して生きてきました。
夫は会社員ひと筋で、つい先日定年を迎えました。
5,000万円の貯金ができ、退職時には4,000万円の退職金をもらえました。
妻はずっと専業主婦で、生活が不規則で転勤の多い夫を懸命に支えてきました。
夫婦はずっと社宅に住んでいましたが、退職後に建売を購入しました。
夫婦の自宅を4000万円で購入、名義は夫婦で半分づつにしました。
残りの貯金5,000万円にはなるべく手を付けずに、年金と貯金を少しづつ切り崩して生活費にあてています。
夫婦の両親はともにすでに他界しており、夫には弟がひとりいますがずっと疎遠でした。しかし、退職金が出た途端、夫の弟から「生活費を援助してくれないか。兄貴が死んだら俺にも相続権があるんだ」と言われました。
弟には不妊に悩んでいた時期に無神経な発言をされたことがあり、妻をひどく傷つけた弟には財産を渡したくありません。
そこで夫婦は相談し、次のような内容の遺言書を残すことにしました。
- ・財産は配偶者にすべて相続させる
- ・不動産の情報(住所や面積など)
- ・配偶者への感謝の気持ち
- ・なぜ相続人を配偶者だけにしたいのかの理由
夫婦はそれぞれこれらを遺言書にしたため、公正証書にしました。
これで夫の弟に遺産が渡ることはなくなり、安心することができました。