コラム

空き家問題と任意後見契約



「空き家問題」という言葉を耳にされたことはありますか?

これは東京、神奈川、埼玉、千葉といった首都圏だけでなく、全国的に深刻な課題となっています。

とはいえ、東京の中でも市区町村によって状況は異なります。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

現在、不動産価格はバブル期を超えるほど高騰しています。それにもかかわらず、空き家が増えているのは不思議なことです。

理由は一つではなく、さまざまな背景があります。

ケース①:親御さんが認知症になった場合

たとえば、親御さんが認知症となり、介護施設に入所された場合、意思確認ができず、家を売却したり貸したりすることができなくなります。

認知症になっても、日常の買い物などは可能ですが、家を売る、賃貸契約を解約するなどの法律行為は、ご本人が行えなくなってしまいます。

そのため、裁判所に申し立てをして「法定後見人」を選任してもらう必要があります。

法定後見人には、弁護士、司法書士、行政書士などが選ばれることが多いですが、まったく面識のない方が選ばれることもあり、ご家族の意向と異なる判断がされる場合もあります。

事前にできる備えとは?

こうした事態を避けるためには、親御さんがお元気なうちに「遺言書」や「任意後見契約書」を公正証書として作成しておくこと。

これが空き家対策に有効な手段のひとつです。

遺言書は、亡くなられた後の財産の分け方などを記すものです。

一方、任意後見契約書は、たとえば以下のような内容を記しておくことができます。

  • 自分が将来認知症になった場合、○○(子どもなど)に後見人になってもらいたい
  • 治療のために預金を使ってもよい
  • 家を売却して介護費用に充ててもよい
  • 延命治療についての希望 など

このようにしておけば、将来本人が認知症になっても、

指定された人(子や指定した行政書士などの専門家)が裁判所に手続をすることで、任意後見人になることが可能です。

認知症になっても、代わりに家の売却や預金の解約などの手続きを行うことが可能になります。

もちろん、親御さんが認知症にならず、元気に人生を全うされることもあります。

しかし、認知症になる時期は誰にも予測できません。

いつ備えるべきか?

そのタイミングについては、ご家族で話し合い、私たち専門家にもぜひご相談ください。

ご家族皆さまが安心して暮らせるよう、心を込めてお手伝いさせていただきます。

ご希望があれば、他のケースもやさしく整えますので、どうぞお声がけくださいね。