コラム

空き家問題と法律

空き家問題が社会問題化していることは、どなだでもご存じかと思います。
では、行政の流れはどうなっているのでしょう?

①相続土地国庫帰属制度2023年4月27日から
②相続登記義務化   2024年4月1日から (10万円以下の過料)
③「特定空家等※」または「管理不全空家等※」
賦課期日(1月1日)までに区からの勧告に対する必要な措置が講じられない家屋の敷地については、固定資産  税・都市計画税の住宅用地に係る課税標準の特例の適用対象から除外されます。

上記のような形で、国庫に帰属を促したり、相続登記の義務化と過料、空き家のままだと税金を高くするなどして、放置しないように法制化を進めています。

このような制度で空き家が減る可能性もあるでしょう。
①はあまり有効活用がされていないようです。そもそも、地方の山林、農地とその測量の困難を考えると都心以外では意味がありません。また、そんな測量が容易で流通性があるならば、市場で売れるので国庫に納める必要がありません。流通性が低くて困っている土地が多い。国が物納のハードルを高くすれば、地方の土地は虫食い状態が増えて、災害対策や大規模活用が進みません。
②相続土地の義務化と言われても、相続人が行方不明だったり、関係者が多くて話し合いが不調に終わったりすることが少なくありません。相続登記要件の緩和も検討してよい気がします。
③税負担による空き家の減少を図るのはある程度効果があるでしょう。でも、解体や測量費用が無くて解決が進まない人もいます。地域によって違いますが、解体費用の貸付や売却価格と相殺するなどの制度を進める必要があると思われます。

3つの法制度によって、多少の改善は進むと思われますが、地方の過疎化と高齢化の流れは変えようがないでしょう。
自分や家族が使う土地、
収益不動産にして利用する土地、
換金する土地(マンション含む)
などの選別を、
親子が元気なうちに話し合うことが大事ではないでしょうか。

あえて大事と言うのは、親が認知症になってからでは話し合いも書類も作れなくなるからです。

親が70-80才であるならば、子どもは40-50才位でしょう。
あわてることはありませんが、まだ「若いから」といって先送りしている人が少なくありません。
全国の空き家が年々増えているのです。
不動産価格が上がってると言っても、都心の方です。
人口が減って家が余っているのですから、いつ価格が暴落しても不思議ではありません。

 

※「空家等」とは?
建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいいます。

※「特定空家等」とは?
空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項の規定において、「空家等」のうち以下の状態にあると認められるものをいいます。

①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

※「管理不全空家等」とは?
空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項において、適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれの状態にある空家等をいいます