コラム
「親の想い、子の願い——遺言書をめぐる静かな対話」
遺言書を書くことに焦っているのは、誰でしょうか。
もしかすると、親御さんは「ゆっくりと、自分のペースで書きたい」と思っているのかもしれません。
なぜなら、 数年後に天に召されることや、 家族との永遠の別れを まだ心の中で受け止めたくないからです。
それでも、 「残された人たちに迷惑はかけたくないな」 という思いも、きっとあるのでしょう。
一方で、子や甥姪の立場からすると、 「認知症になる前に書いておいてほしい」 という願いがあります。
もちろん、 「遺産がどうなるか気になる」という気持ちもあるかもしれません。
でもそれ以上に、 「何がどこにあるのかわからない」
「兄弟姉妹と揉めたくない」
「親に子がいない場合は、親の兄弟と揉めないようにしたい」
そんな思いからのご相談が、少なくありません。
それぞれの立場に立てば、どの気持ちもよくわかります。
けれど、時間は誰に対しても同じように流れていきます。
85歳でも頭が冴えている方もいれば、 定年後すぐに認知症を発症する方もいます。
急に説得するのは、なかなか難しいものです。 親子であっても、話しづらい話題ですから。
だからこそ、 若い頃の思い出を語り合いながら、
「何かあった時のための保険」として、 少しずつ考えてみるのはいかがでしょうか。
悔いのない人生を歩むために——。
