コラム

アントニオ猪木、立教大学で講演の思い出

9月30日にアントニオ猪木こと、猪木寛至氏が79歳で亡くなられました。
病気と闘い、最期まで己の姿を公開された生き方は多くの人に勇気を与えたと思います。

もう30年くらい前のことです。
3年後輩の皆さんが立教大学の学園祭で、猪木氏の講演会を行ったことがありました。
当日私はタッカーホールの2階のロビーにいてあえて中には入りませんでした。
といいますのは、当時も大人気のアントニオ猪木です。
ソ連からレスリング選手を発掘したり猪木の常識非常識。
何をしでかすかわかりません。
不測の事態が起きた場合に備えて後輩たちを助けるという気構えでいました。
そんな心配も杞憂に終わり、講演会は大盛況で終了しました。
興奮した後輩たちによると、質問コーナーで学生が
「猪木さん、倍賞美津子さんに言いたいことはありますか?」
と尋ねたそうです。
離婚した人の事を聞くなんてあまりにも失礼。怒られても仕方がありません。
猪木氏はマイクを握って
「美津子、愛してる!」と絶叫。会場は大歓声につつまれました。
この話を聞いて私は
「なんと正直な人だろう。一瞬で観衆を虜にしてしまうマイクパフォーマンス。カリスマ性が半端ない」と思いました。
その後はビンタ希望者が殺到したそうです。

「アントニオ猪木自伝」は20代、30代、40代、気持ちを奮い立たせるために何度も読みました。
辛いブラジル移民生活、力道山にゴルフクラブで殴られたこと、馬場さんの格下扱いにされたことなど
何くそという気持ちが強かったのでしょう。
新団体を経営に乗せるため必要以上に闘魂を旗印に無理して生きてきたのかもしれません。
でもその戦う生きざまは多くの人に勇気を与えたことは間違いありません。
長い間ありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください。